「貯めておく」から、デジタル化して整理
データベースにして活用しやすく
デジタルアーカイブに取り組むきっかけは、周年記念誌の制作にあたり資料の収集を始めたときや、周年史の刊行が終わって集まった資料をどうするかとなったときが多いようです。
普段から資料保存のルールを決めて、定期的に整理をしていくことが理想ですが、なかなか難しいのが現状です。
会社の中に倉庫を設けて収納しているとか、決められた棚の中に収めているということをよく聞きます。
この状態が数年続き、担当者が変わるなどすると、中に何が入っているのか分からなくなってしまいます。
そこで、デジタル化に取りかかることで整理ができ、資料をデータベースにしておくことで活用できるようになります。
整理のルール化と検索しやすいメタデータの付与
企業の歴史の中に埋もれた資料を取り出して選別し、デジタル化して整理することで応用しようというのが企業デジタルアーカイブです。
ただ、電子データ化するだけで「何の画像か分からない」「検索しても見つけられない」というものでは意味がありません。
すぐに探せないままでは、アーカイブの価値は半減します。
資料をデジタル化すると同時に、どこにどんな資料があるかを把握でき、誰もが簡単に検索できて使える状態にする必要があります。
デジタル化したデータは、データベースに登録し「見える化」することで「使えるデータ」になるのです。
したがって、資料をデジタル化した後の作業が、より重要です。
作業としては、資料の整理やリスト化、ファイル名のルール化、メタデータの付与などがあります。
そこまでできると、社内外からの間い合わせに対応でき、商品やサービスのPRやリクルートについても情報発信がしやすくなるなど、有効に役立てることができます。
企業の歴史を紐解き、未来のブランド価値に
最近のデジタルアーカイブ学会誌によると、自社のブランディングのために、企業のデジタルアーカイブが有効であることが認識されつつあると指摘しています。
自社の歴史を紐解きながら、地域とのかかわり、社員や顧客の人生の結びつきを示すことができ、企業のファンを育てることができます。
また、創業者を知らない、会社の歴史を知らない従業員が増える中で、創業者(歴代社長)の言葉を整理して経営理念を再確認するなど、グループのアイデンティティーを醸成することにも活用できます。
「歴史」を未来に生かすためにも、企業デジタルアーカイブの着手をお勧めします。
金澤健吾(かなざわ けんご)
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